教会で心を癒そう その1

・キリスト教会に行こう

今回は「人生を癒す」をテーマに、キリスト教会で音と音楽を聴くことについて考えてみようと思います。

いきなりこう書くと戸惑う方も多いと思いますが、人は、人生に行き詰まったり悩みが深くなると、日常生活から離れて旅に出たり、海を見に行ったり、非日常の中に自分探しをするものではないでしようか。

非日常を感じる活動のひとつに、キリスト教の教会で礼拝を体験するという方法があると思います。
礼拝に参加して、教会の建築構造によって造られた人の心を温かく豊かに包み込む音の感覚を捉え、キリスト教教義にある、命ある者を包み込む大きな存在を感じてみましょう。

このように「人生を癒す」が今回のテーマです。
生きてきた人生を振り返り、新たな旅立ちをする。そんなときに役に立つ「音と音楽」について考えてみました。

下に一般的なキリスト教会の断面図を描きました。仕掛けの一つは、参列者の頭上に大きな空間が形成されていることです。

この空間は音を長時間響かせますが、その長い滞空時間の響きは参加者を包み込む効果があります。教会内で礼拝が行われると、讃美歌の合唱が長い残響音で豊かに響きわたるのです。

さて、教会での伴奏というとオルガンです。なぜオルガンなのか、理由はその音にあります。

大きな教会のパイプオルガンは管が共鳴する持続音です。小さな教会で使われるリード方式のオルガンは、ハモニカやアコーディオンのように金属の振動板が振動する持続音で発音されます。

いずれにしても、ピアノのような打鍵の音ではありません。
ピアノのような打鍵の音が適している音楽は、ヒップホップのように短くキレ良く発せられ、躍動感や元気さを感じます。

一方、教会のオルガンは、長く響く音に包まれると安らぎや安堵感を作り出すことができます。
教会の音には次のような特徴があります。

*頭上の大きな空間に音が響き渡る
*その音は滞空時間(残響時間)が長く、小さな教会でも豊かに参列者を包み込む
更に大きな教会では残響時間が数秒にわたることもあり、空間に滞空する響きに、次の楽曲の旋律が重畳され、美しく響きわたります。

キリスト教会は信者でなくても参加できます。お勧めします。
豊かな響きの空間で、音に包まれてみてください。ここに西洋音楽の原点があると思います。

萩原光男