音環境を理解するための10章 その7

西欧人と日本人の「音感覚の違い」を考える(その2)~

日本人だけが、虫の声を言葉として聞くのか?

前回は、虫の声を日本人は言葉として聞き、西欧人は雑音として聞く、という話をしました。

整理すると、ヒトは音の情報処理に関して、
・右脳は音楽脳で音楽や機械音、雑音を処理します。
・左脳は言語脳と呼ばれ言語の理解や論理や知的な情報処理をします。
虫の声に関しては、日本人は言語脳である左脳で処理して、欧米人は音楽や雑音などと一緒に右脳で処理するのです。

この音の「聞き方」は言語構造の問題である、と言われています。
従って、言葉を覚える生育過程で決まるのです。

日本人でも
・生育の過程で欧米の言語を母国語として育てられると西洋型となり
・生育の過程で日本語を母国語として育つと日本人型になる
ということです。幼児期にどの言語で育ったかで、日本人型になるか、欧米人型になるか決まってしまうのです。

もう少し細かく見ていきましょう。
音の情報処理の右脳か左脳かを調べていくと
・右脳は、音楽、機械音、雑音
・左脳は言語の理解
というのは欧米人も日本人も共通ですが、「母音、鳴き声、笑い声、虫や動物の鳴き声、波、風、雨の音」などは日本人は左脳で聞き、西洋人は右脳で聞いていることがわかっています。

では、日本人だけが虫の声を言葉として聞くのでしょうか。
そのあたりを調べると、聞き方の違いの理由がわかってきそうです。

研究によると、虫の声を言葉として左脳で処理するのは、ポリネシア人にもみられるとのことです。
つまり、この聞き方の違いは言語構造に由来すると考えられています(自然との付き合い方などに理由を求めた研究もあります)。

ここでどうしてポリネシア人が出てくるのか、日本人は朝鮮半島から来たのではないのか、などなど、日本人とはなんなのか?

そのあたりについては、次回、迫ってみたいと思います。

萩原光男