副交感神経を優位にすれば、音の世界が広がり、健康にも役立つ

自律神経には交感神経と副交感神経があります。特に重要なのは副交感神経で、これを優位にすることで心と身体の健康に貢献し、音の世界も理解しやすくなります。

前回は視覚と自律神経の話をしましたが、今回は特に副交感神経に着目していきましょう。

音を理解するためには、この副交感神経を理解することがキーポイントです。様々な音響現象が人体生理に貢献していることが理解できます。
音と副交感神経の世界は奥が深いので大きなテーマとして掲げておいて、もう一度自律神経について理解を深めておきましょう。

交感神経と副交感神経は一対で考えられ、これらは自律神経と言われます。

一般的に自律神経とは内臓や代謝、体温といった人体の機能を昼夜コントロールする神経のことを指します。
まず、交感神経は心と体を活発にします。逆に副交感神経は休んでリラックスしている状態を作り出し、この二つがバランスを取りながら私たちの心と体を支えています。

もう少し詳しく説明してみましょう。

交感神経は昼間や活発に活動する時間帯に優位になり、心臓の働きを促進して血流を促進します。 血圧・拍動・体温などが上昇するため、活動するエネルギーがわきます。

図 自律神経について考える
ヨガや座禅では副交感神経が優位になる(コブラのポーズ)

副交感神経は体と心が「お休みモード」のときに優位にはたらき、体の力が抜けて脈がゆっくりになります。リラックスしている状態です。

その他にも、副交感神経は消化器系で重要となってきます。副交感神経の働きを活発にして消化管運動を亢進させれば胃もたれなど消化器系の症状を改善する効果があるのです。

副交感神経を優位にすることは体内の臓器の働きを良い方向に導き、体全体を健康にしていきます。ですから、副交感神経を優位にすることを心がけ、心地よい環境でゆっくり美味しく食事をすることで消化も良くなります。

図 自律神経について考える
ダンスなどでは交感神経が優位になる

副交感神経が重要と言っても、音と音楽において交感神経は躍動感を出し身体を活動的にするために重要です。音と交感神経の関係では、ロックやポップス、ジャズやクラシック音楽でも、感情の高まりを表現するパートでは交感神経が高まり体の動きを良くして肉体労働を助けます。

一方、静かに語りかけるバラードや、シンフォニーの第二楽章のゆったりしたアダージョでは副交感神経が優位になると言えます。

音を聞いて評価する私の仕事では、副交感神経が重要です。副交感神経を優位にすることを心がけることで、「音を聞く」というより、音を聞いて心がどう感じているかといったような、言ってみれば「禅」の世界で仕事をしてきたような気がします。

次に「禅」から副交感神経を理解していきましょう。禅ではその関係を次のように説明しています。

坐禅では、ゆっくりした腹式呼吸が推奨されます。腹式呼吸を実践していくと副交感神経優位の状態になり、ゆったりした気分になります。このように坐禅に慣れてくると、半睡半醒の状態となり聴覚鋭敏になって、線香(坐禅の時に時間測定のために使われることがあります)の落ちる音が聞こえるほどになると言われます。

図 自律神経について考える
座禅

これは「禅定」と呼ばれるものですが、この禅定まで行かなくても、心に感じる音の細部がわかるようになります。

今回の話は、「音を聞く力を高めたり、音楽を楽しんだりするためには視覚優位を脱却して副交感神経優位の状態で音を聞く、楽しむ」というのが結論です。

ところで、今回の自律神経系の交感神経と副交感神経を生かした、東京ブラインド工業の製品を紹介しましよう。

吸音エコロブースは、なにかと煩雑なオフィス環境やリモートワークに貢献できる、プライベートスペースを簡単に作れる製品です。集中力を高め創造的な仕事に貢献する(副交感神経を優位にする)効果が期待できます。

東京ブラインド工業の製品には、こうした心と身体の関係を深く考えながら作られた製品があることをお伝えしておきたいと思います。

萩原光男

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