音はどう記憶されるか その2
前回は音を評価、理解することについて述べました。今回も引き続き音の評価や理解、記憶することについて触れていきたいと思います。
・情景で音を記憶する
さて、音はどのように記憶され、思い出されるか。筆者の場合は結構昔の音、5年ぐらい前に行ったムジークフェラインザールの音、製品を試作した時の音なども覚えています。
音を記憶していく際は、音環境と情景が重要です。
どんな部屋だったか、明るかったか、寒かったか暖かかったか、部屋の内装材はどうだったか、音のどこに心地よさを感じたかをセットで記憶します。
- 響きのある教会
- 静かなパソコンルーム
- ライブな事務所
その場所でどう高音が響き渡り、低音が伸びたか。音の包まれ感はどうだったか。これらは建築的な要素が大きく影響しており、音の記憶には欠かせません。
音の情景をパターン化して記憶し、理解するのです。聞く曲も、基準となる曲は決めておきます。
・感覚の世界では、自分が抱いた印象を大切にする
最後に、感覚の世界では自分の感じた印象を持ち続けることが大事です。
他の人が良いと言うと「それが良いのか」と思いがちですが、「音を聞いて自分はここが良いと思った」という感覚や自分の音への印象を大事にして自信を持つのです。
そして、音を聞いたときに抱いた印象を大事にしつつ、自分と違う見方をした人はどこを評価しているのか課題として持ち続け、時間をかけて理解していきます。
音以外に絵画鑑賞、味覚や臭覚などでもそうですが、自分の感覚に自信を持って大切に扱うことが「感覚の世界を理解すること」なのです。
次回は、モーツァルトについて触れていきたいと思います。
萩原光男