静けさと音 その1
「静けさ」について考えてみましょう。
青梅市には「静けさ」を味わえるおすすめの場所がふたつあります。
ひとつは青梅線の終点である青梅駅周辺の、青梅宿の静けさです。青梅市は多摩川渓谷の谷合にあり、外部の音を遮断し、市内の人通りや車も多くありません。最大の味わいは、戦火を逃れた青梅宿の街並みです。
もうひとつは究極の静けさとも言うべき日本のマチュピチュ「御岳山」ですが、今回は青梅宿について味わいましょう。
筆者が約10年前に青梅商工会議所で仕事をしていた際、会報に載せた記事「青梅音めぐり」を次回とその次の回でご紹介します。
記事の内容は2011年当時のものになります。記事中のお店など既になくなっているものもありますのでご了承ください。
ところで、記事を執筆してから随分時間が経過しているので、どう変化しているか記事内容を確認すべく青梅宿を訪ねました。
青梅宿は大きく変化していました。
数年前に訪れた時は「青梅音めぐり」の面影を残していたのですが、高度成長期の衰退期にあったこの町はコロナ禍の影響もあったのでしょうか、駅前の低層商店街は再開発の動きで工事中の白いシートで囲まれていました。
最盛期には、駅から500mぐらい離れた商工会議所へ行く七兵衛通りの路地に、仕事を終えた中小企業経営者に極上の美味いものを食べさせる店や軽食のできる素敵な喫茶店が並んでいました。数年前はそんな店を古い街並みとともに楽しみましたが、再開発の街中はやや殺伐としていて、私の好きな雰囲気は薄くなっていました。
しかし、この街の音は更に美しさを増し、青梅宿の周りの裏路地は味わい深い昔のままです。
青梅は今、日本のどこでも見られるような大きな変革の時にあります。
青梅の名称である梅園の梅もウイルスのため伐採され、ようやく再植されて新たな梅の木が育ちつつあるという状況です。
青梅宿が再開発を終え、梅林もたおやかになる頃には、必ずまた素晴らしい「静けさ」を味わえる街になるでしょう。
そんな未来を願ってかつての記事を掲載します。往時から街は変わっても、今訪れても「静けさ」の味わいはおすすめです。
それでは、次回より青梅商工会議所の会誌、newsおうめNO410からの掲載をお楽しみください。
萩原光男