反射音について その2
反射音の効果―反射を利用したスピーカー設置方法

図のスピーカー設置方法をご覧ください。
部屋のコーナーの天井近くに、特別な固定金具で固定してあります。
天井は普通、凹凸を作るものが無く、平坦で反射を有効に使いやすい空間です。
これを利用して部屋のコーナーにスピーカーを置くことで、三方の壁の反射を得られることになります。特に中高音の音圧が上がり、明るく広がりがあり聴く人を包み込むような音が楽しめるようになるのです。
実際にこの設置方法を実行しようとすると特別な固定具が必要になってきますが、応用でタンスや本棚の上にスピーカーを設置する例が挙げられます。
「天井の反射を有効に使う」と考えると、部屋のコーナーに近い家具の上にスピーカーを置くだけで同様の効果が得られます。
※落下しないよう十分配慮してください。

●床置き・天井付近に設置した場合の音比較
前回と今回で、反射音を利用して良い音を聴く方法をお話ししました。
床置きと天井近くに設置する2種類の方法について触れましたが、この2つは得られる音に大きな違いがあります。
*床置きの場合の音傾向
低音の増強効果が高く、中低音に包まれる落ち着いた音になる。
低音楽器も強調される。
*天井近くに設置した場合の音傾向
中高音が強調され、広がりが豊かになって明るい傾向の音になり、管楽器やバイオリンが艶のある音になる。
低音が弱めに感じる場合は、壁面に近くすると低音の反射音が強調される。
天井のコーナーに設置した例は、アパレルの店舗などで見られました。
この様な店舗では、出入り口が開かれているので低音より高音が強調され、軽快で明るい雰囲気が作られます。

一方で、喫茶店などでは店舗の雰囲気を落ち着かせるために出入り口のドアが閉まっている場合が多く、この点からも低音が増強されます。
このように、部屋の建築的条件で音は変化します。
室内のコンセプトを明確にした上で、どのように音楽を聴かせるかで設置方法を決めていくのが良いでしょう。
萩原光男