木製ブラインド「こかげ」について②

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プロフェッショナルの選択肢Ⅱ

木製ブラインドが高額になる理由はその希少性にあり

国産材の超希少性とは

同社が「こかげ®」に採用するのは、日本各地にある銘木の生産地から選ばれたヒノキやスギである。ここではそのなかから鳥取県智頭町の智頭杉を例に取って説明したい。

智頭の町 丸太の切り口

智頭町は鳥取県南東部に位置し、岡山県北部隣接する町の93%が森に囲まれた杉の町だ。明治以降は林業の町として栄えてきた歴史を持つ。
智頭杉は奈良県の吉野杉、秋田県の秋田杉と並び、銘木として名高い。その特徴は端正で緻密な木目の美しさ、そして濃淡のある褐色の心材(木の中心部)と、白色の周辺部とのコントラストだ。

無垢の一枚板

「こかげ®」の最大の特徴は、スラットが1枚板であること。住宅の開口部で使用するために天井高を考えると、少なくとも約2m以上の長さが必要だが、ここで反りやよれが生じては意味がない。またせっかくの1枚板のため、木の目の美しさも備えたい。
そのため「こかげ®」で使用するスラットは、とくに無節・二方柾目の高級柱材から切り出している。しかも上から下まで平行な木目が走るような大径木から選り抜いた材が選ばれている。また“色味のバランス”も重要だ。先に述べたように、智頭杉はコントラストが特徴だ。

褐色部分は芯に近く、発育が止まっているため狂いは少ないが、“割れ”が起こる可能性がある。一方で樹木の表皮に近い白太(白材、白肌とも)と呼ばれる若い部分は、まだ活発なため、外気の影響を受けやすい。そのバランスが最適な部分を選び抜く必要があるのだ。

そのため、樹齢80年超という木材でも全体の1割ほどしか使用に耐えるところはない。まさに大トロ並みの贅沢さ、なのである。しかも智頭杉なら長さ3mを超えるようなスラットをつくることも可能。建築家の創造性をかたちにできる素材ということが言える。

『秋葉原UDXビル』の5階エレベーターホール脇。高さ3m80cm、無垢の一枚板で作られた縦型の 木製ブラインド

中国山地の1000m級の山々に囲まれた山間にある智頭町。前述したように林業が盛んで、なかでも智頭の名前を冠した智頭杉は吉野杉、秋田杉と並ぶ銘木として知られている。智頭杉の原木は中心部と周辺部のコントラストの違いが特徴だ。
「こかげ®」ではこの木材のうち、1割ほどしかない最適な部位を選び、柾目の1枚板にカット。反りやよれの少ない1枚板にするため、乾燥機にかける前に一度自然乾燥するのだという。この手間暇をかけることが希少な材を生かすことにつながっている。

良質な材を確かな技術で製材していく

産地では清らかな水源も

管理された森林

ライター YK