モノの味わい・音の味わいと作り込み その1
今回の音楽
今回は、音の世界にも通じる食の世界を語っていきます。
18世紀の王侯貴族は、食事をする際に食事専用の音楽「ターフェル・ミュージック」を聴きながら美食を楽しみました。ゲオルク・フィリップ・テレマンのターフェル・ミュージックから「テレマン:ターフェルムジーク 第2集 序曲 管弦楽組曲 ニ長調」を聴いてみてください。
・「良いモノ」とは何かを論じて、生活におけるひとランク上の上質な音空間を考える
音の世界は料理の世界に似ています。
フランス料理の有名シェフの言葉を引用しましょう。フランス・リヨンにある三つ星レストランのシェフ、アラン・シャペルは自分の作る料理についてこんなことを言っています。
「素材の持ち味を大切に、何を食べているかわかる料理」
音作りの世界でも同じことが言えます。
良い部品や新しい技術に関して、その特徴や良さを理解して大事にします。持ち味を更に良い物に練り上げ、出来上がった製品では、このソースのこの音は〇〇だから出せる音、とわかるように仕上げます。部品や技術の持つ能力を、確実にリスナーに伝えられるようにするのです。
特徴ある部品や技術を色々と使っても、それらの効果やありがたさが伝わらないようであれば、その作品は成功とは言えないでしょう。
とは言っても、部品や技術の能力はグレードが上がるほど、これ見よがしなモノではなく「わかる人にはわかる」場合があります。良い製品ほど隠し味のように仕込まれた味わいがあり、それを楽しむのは「大人の世界」と言えるでしょう。
では、素材の持ち味や良さを更に練り上げるものはなんでしょう。
力を発揮するのは、料理では「三つ星シェフ」という肩書きなどに見られるように、経験で培った評価される技術が生きている人材です。
前出の三つ星シェフによれば、例え同じアスパラガスでもはしり(出始め)なのか、旬なのか、どこの畑でとれたのかで異なるのだそうです。さらに、同じ畑でも日当たりのいい場所とそうでない場所では調理の仕方が変わってくると言います。
はしり・旬の特徴を理解している。それだけであれば食通の世界ですが、彼は素材を活かす方法を知っていて、それぞれの持ち味や良さを最大限引き出して仕上げ、上のグレードの世界を構築できる力を持っているのです。
ところで、ものづくりの世界での「良いものの基準」とはなんでしょう。
作り出した製品の市場での評価が定着していることでしょうか。雑誌のレビューや受賞歴は雑誌社の広告料と紐付けられていたりしますが、受賞したとして結果的に市場で実売実績を上げて認められていることでしょうか。
そんな観点を持ちつつ、次回は東京ブラインドの製品の世界を訪ねてみましょう。
萩原光男
**…。*東京ブラインドの製品紹介 *。…**
デスク周りの耳障りになる音への対策として開発された吸音デスクトップパネル。
電話の音を聞き取りやすくし、会話などまわりの騒がしさも軽減。静かで集中しやすいデスクになり、ストレスの緩和や仕事効率アップに繋がります。