昨今の音感覚の世界と製品作り その2

・昨今のユーザーの「音感覚トレンド」を学ぶ

昨今の音楽市場で大きな割合を占める消費者世代のうち、Z世代について前回触れました。
今回はY世代(1981年〜1996年頃に生まれた人々)についてです。

Y世代は現在20~30才代にさしかかり、消費経済で大きな比重を占めるようになってきているので細かくみておきましょう。マーケット的に消費の中心であるこの世代の人々を知っておくことは重要です。

Y世代の特徴は、なんといってもゆとり教育を受けた世代ということです。
それまでの知識優先の詰め込み教育から、義務教育の週休2日制やカリキュラムの統合などが行われました。

主な特徴は

  • あまり叱られた経験がない(褒めて伸ばす)
  • 競争意識が高くない
  • 昇進や昇給へのこだわりが強くなく、職場の付き合いより自分の時間を大事にするなどプライベートの比重が大きい
  • 合理的・効率的な思考をする
  • ITスキルが高い

と言われます。ちなみにZ世代とY世代はゲーム機、コンピュータやネットで育ったのでデジタルネイティブという言われ方もされます。

こういった若い世代の考え方をまとめると、一つの価値基準にとらわれない柔軟な多様性を持っていることが窺えます。
ゆとり教育の目指した「自ら考え自ら学び、主体的に判断、行動し問題にあたる」ことを重視した成果と言えるでしょう。

以上が基礎知識になりますが、そのうえで昨今の世の中はどうなっているか、その結果何を求めて人々は行動しているかなどを考えていきましょう。

それらがモノ作りに直接関係することはないとしても、同じ時代に生きる者としての意識や生活における重要ポイントを理解しあい、漠然としている経済やモノ作り感覚を共有していけたらと思います。

そこでいきなり私の個人的な感覚で申し訳ないのですが、現代の音楽を理解する物差しとして宇多田ヒカルさんの曲に焦点を当ててみたいと思います。
現在もヒット曲を発信している彼女ですが、1998年にAutomaticという曲をリリースした際は100万枚を超えるミリオンセラーとなりました。

筆者が現役で音作りをしていた時代、Automaticを聴いて「時代の感覚は変わった」と確信したものでした。特に冒頭の低音はインパクトがあったのです。
歌謡曲の世界では演歌はマイナーになり、ニューミュージックと呼ばれた歌詞から時代を語る歌ではなく、メロディーやリズムから流行歌を作る流れになっていたのです。

皆さんはこの曲を聴いてどう感じるでしょう。
ここに、時代感覚と共に吸音製品が貢献する空間音響に対する捉え方のポイントさえ読み取ることができると思うのです。

萩原光男

*…*東京ブラインドの製品紹介 *。…**

他社に先駆けて開発した吸音製品、吸音パネル。裏面のマグネットで簡単に取りつけることができます。
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